メモ

 新作、というよりは以前書きかけていたものを完全にリライトしようと思い立ったので、一度書きかけのものを印刷して読み返してみることにした。原稿用紙で222枚分あったので、ちょっと時間がかかりそうだけれど、大幅な改変のイメージはできているので、かなり書き込みを入れながらの確認になりそうだ。
 これまでに書いてきた小説にはおおざっぱに分類すると二つの方向のものがあって、ちょうど『文藝趣味部』の1と2に掲載している作品がそれぞれの方向性をうまく表していると思うのだけれど、一つはどちらかというと現実に立脚した青春小説っぽい雰囲気のもので、もう一つは完全に自分の独自の世界観で構築していくもの。
 『文藝趣味部2』用に書き上げた「崑崙蝶と肺病やみ」は後者のほうで、完全とまでは言えないけれど、締め切りを設定した上で、限られた中では現状で出せるものはとりあえず出せたかなと思う。ファンタジーとして足りない部分も指摘はされたけれど、そういった課題というか、まだ自分の方向性に取り入れ切れていない要素もありつつ、そこを補っていくための勉強方法などはだいたい想定できるので、あまり焦らずに埋めていきたい。
 今回書き直そうと思っているのは、前者のほうに属するタイプの小説で『文藝趣味部1』の「鼻」なんかと近い方向性になると思われる。以前書きかけていたときは、まだかなり認識に甘さが合ったり、非情になりきれずに、また、自分の美学にとらわれて綺麗に書こうとしていたと思うのだけれど「崑崙蝶〜」を書いていて、これまでにとらわれていたり意識的に排除していた部分をかなり克服できたと思うので、このタイミングならかなり良いものが書けるのではないかと感じている。
 これに関しては今のところ発表形態というか、文芸誌用なのか、どこかの賞にでも送ってみるのか、決めてはいないけれど、何となく手応えというか、今の自分の能力に応えてくれる作品になってくれるような気がしている。